長耳さん家のヒエラルキー

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 いつも通り過ぎる春休みのある日である。  春休みでも仕事に明け暮れる両親を尻目に俺こと長耳 兎都(ナガミミ トト)は日を浴びながら昼寝をしていた。  今日はクソうるさい妹も友達と遊ぶとかでいないから最高。  もうこの家は俺の物。つまり神。 「ごっふ……!」  腹になにかが飛び乗ってくる。冬とかではありがたかったはずのもふもふは暖かくなってきた春には少々暑苦しい。  腹に飛び乗り、腹で寝ている白い物体を見る。  案の定、神の腹で眠っているのは我が長耳さん家の癒し担当、うさぎのコロちゃん。 「だがしかし、今この状況では癒しというより、ただの邪魔だ。神の腹から退くがいい」  コロちゃんを抱き抱えて、コロちゃん愛用の寝床、【長耳さん家特性人一人余裕で入れるぜ鍋】に入れてやる。  コロちゃんも仕方ないと納得したらしく、こちらを一回一瞥すると寝に入る。 「ふぅ……」  あとは鍋の蓋をして……と。  そして再び床に寝転がり昼寝再開。  え? なんで鍋に蓋をしたかって? まあ空気穴は作ってあるから大丈夫。  敢えて理由を述べるならそれは、 「ごぐげぇ……!」  さっきとは比べ物にならない体重が俺の腹を圧迫する。  薄目を開いて見てみれば、そこには一人の……『白いうさぎ耳』をつけて、ティーシャツ一枚だけを着た白髪ロング少女がいた。  いや、訂正しよう。年は八才程の『幼女』がいた。  この現象は長耳さん家の最重要事項。  【コロちゃんが幼女にっ!?】だ。  ある意味ファンタジー。なぜ人間に変わるのか。兎は二才のとき人間年齢に換算したら二十八才のはずなのになぜ姿が八才なのか。  つーか、ティーシャツどこから出した(最重要)  因みに、コロちゃんは俺の言うことをなんでも聞く。今では芸もお手のもの。  ということは、どういうことかお分かり頂けましたか?  コロちゃんは俺が退けと言えば退いて、 「ととにぃ……おなかでおねんね、め?」  …………。  長耳さん家のヒエラルキー。  兎都<コロちゃん。
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