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人間化したコロちゃんは若干重いものの、そこまで気にならない。今は膝枕だし。
「すー……すー……」
むしろご褒美でっす! なにこの子、襲ってしまいたくなるくらい可愛い。
こんな俺がコロちゃんを襲わずにいれるのにはちゃんと理由がある。
「兎都? ねぇ、聞いていいかしら?」
目の前に立っている黒髪ショートヘアの少女。俺の抑止力であり妹の兎紗(ウサ)。
剣道をやっていて常に竹刀を所持してる。
「妹よ、話をしよう。だから竹刀を抜き身で持たないでくれ」
「そうね、コロちゃんが人間化している正当な理由が聞けたらいいわよ」
「俺の趣味です。キリッ」
頭を竹刀で叩かれた。本気じゃないところ、この妹優しい。
「あのねぇ? お母さん達がいつ帰ってくるのかわからないんだから容易にコロちゃんを人間にしちゃ駄目なの。兎都にもわかってるでしょ?」
「わかっているぞ兎紗妹よ。こっそりと二人で愛を築けと言うのだろう?」
人差し指を立てながら出来る限りのドヤ顔をしたら次は思いっきり、床に置いてあった俺の服で頭を叩いてきた。
思いっきりのときは竹刀で叩かないとか、この妹マジ優しい。
「んぅー……」
俺達兄妹喧嘩がうるさかったのか、膝で寝ていたコロちゃんが目を擦る。
「おい、兎紗妹! お前がうるさいからコロちゃん目を覚ましちゃったじゃないか!」
「ご、ごめんねコロちゃん! って、兎都も悪いでしょ!」
次は右手で頭をひっぱたいてきた。こんなんなら竹刀いらなくね?
「ととにぃ……」
「ん? ああ、うるさくして悪かったなコロちゃん」
いつの間にか立っていたコロちゃんに対してにっこり微笑むと……コロちゃんは俺の頭に――正確には叩かれた所に―― 小さな手を置く。
「いたいの、いたいの、とんでけ~」
「飛んできゅー!」
なにこの子! なにこの子! 可愛くて優しい! これだからロリコンはやめらんねぇ!
「うさねぇ……いたいの、いたいよ?」
「うっ……ごめんなさいコロちゃん」
八才くらいの兎に叱られてる中二の妹。つい笑いがもれる。
「二才児に叱られる中二、わらい」
「兎都ぉ!」
「うわぁぁああ! ちょっ、竹刀振り回さないで!」
「ととにぃ、うさねぇ、だめぇー」
「「ごめんなさい」」
長耳さん家のヒエラルキー。
兎都<兎紗<コロちゃん。
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