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寝室から出るとレインが駆け寄ってくる。 また抱き上げ、リビングに戻ると良い匂いがしてきた。 キッチンにいる英司の側に行くと、フライパンを振っていて、そっと覗き込む。 『何作ってるの?』 『チャーハン。腹減っただろ?すぐ出来るから、レインをケージに戻して、手洗っておいで。』 確かにお腹空いたかも。 英司に言われた通り、レインを戻し洗面所に向かう。 手を洗いながら、本当にどっちが年上かわかんないなって思ったら、笑いが込み上げて来た。 笑みを残したまま、リビングに行くと既にテーブルに用意されていて、英司と隣り合わせに座る。 『いただきます!』 一口食べると、エビがプリプリしてて味も良い。 『美味しい!英司って洋食だけじゃなくて、中華も出来るんだね!』 『何だよ。それ。簡単なのしか出来ないけどな。』 照れ臭そうにする英司に笑いながらも、どんどん食が進む。 『ゆっくり食えよ。あんまり食べてなかったんだろ?急に食べたら胃が痛くなるから。』 そう言う英司に、今まで不思議に思ってた事を聞いてみる。 『ねえ。前から思ってたんだけど、何でそんなに私の事わかるの?』 『ん?だって、二年も澄香の事思って来たんだから、それぐらいわかるよ。』 え?二年? 出会って、まだ半年ぐらいしか経ってないのに? 『二年って?』 『それはまた今度話す。』 気になると、幾ら聞いても答えてくれなくて、変わりに耳元で英司が囁いた。 『誰よりも澄香よりも、澄香を愛してるってこと。』 その言葉で一気に、顔の熱が上がる。 グイッと引き寄せられ、顔を近付けた英司がニヤリと笑みを見せる。 『真っ赤になって。可愛い。』 言ったと同時に合わさる唇。 口付けが深いものになるのを抵抗しながら、口を開く。 『英司!まだ食べてる最中!』 『それは後でいい。先に澄香を食べることにした。』 そんな色気を含んだ目で見つめるなんてズルい。 その場に押し倒され、英司に身を委ねる。 きっと一生、英司には適わない。 だから、英司には知られない様に心の中で呟く。 『誰よりも君よりも、英司を愛してる。』 end
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