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お仕置きじゃなくてご褒美。 この言葉が一番しっくりくる。 だって、こんなにも俺を喜ばせてるんだから。 澄香が甘い吐息を吐く度に、強い独占欲が押し寄せる。 もっと俺を欲しがって。 俺の事だけを考えて。 絶対誰にも渡さない。 絶対、離してなんかやらない。 この日を境に、俺は浮気紛いの事を繰り返した。 そうすれば、澄香はずっと俺を見てくれる。 俺を欲してくれる。 その思いに縛られて、もう止める事が出来なかった。 『別れたい。』 そう告げられた時は焦ったが、どれだけ澄香が必要なのかを伝え繋ぎ止めてきた。 そのうち澄香の反応が薄れてきた時は、ワザと部屋に他の女を匂わせる物を置いたり、 言い寄ってくる女を利用して澄香に会わせたりして。 澄香が嫉妬しなくても、俺から離れない事がわかれば、今度は優越感に浸った。 好き勝手に振る舞う俺を許すほど、俺を愛してくれると都合よく解釈して。 こんないい女、他にいないだろ。 それが俺のものなんだ。 ずっと俺の隣には、なんだかんだ言って澄香がいるもんだと信じて疑わなかった。
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