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それから何年か過ぎたとき状況が一変した。 きっかけは澄香の店の担当が、広斗ではなくなった事。 広斗からの電話で、新しい担当者と澄香の顔合わせを取り次いで欲しいと連絡があった。 知ってる間柄で堅苦しいのは嫌だと言う、まさにフランクな広斗らしい発想だ。 『で?広斗の後任って男?』 『ああ。仕事の出来る良い奴だよ。何?心配か?』 男か。 一応、どんな奴か見ておきたい。 まあ澄香が裏切るとは思えないが。 『まさか。澄香はそんな事する女じゃねーよ。じゃ俺の家でいいか?』 『ああ。早速で悪いが、今日でもいいか?』 あまり時間がないという広斗に従い了承した。 俺も相手の男を見てみたかったし。 直ぐに澄香に連絡する。 昨日、会う約束を断ったなんて事をすっかり忘れて。 直ぐに短い返信が来る。 澄香らしい。 ふっと笑みを漏らし、仕事を再開させた。
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