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事を終え、女をホテルに残し早々に帰宅した。
明日は朝一から出張なのに、何も準備が出来ていない。
時刻は既に日付を変えて、3時になろうとしている。
店から出て直ぐに、澄香にはメールを残した。
『今日は悪かった。俺が好きなのは澄香だけだから。』
きっと澄香なら、許してくれる。
そう信じて。
鞄に荷物を詰め込み、資料に目を通す。
結局、一睡もすることなく家を出る羽目になった。
駅に向かう前に、一度澄香の家へと足を運ぶ。
頼むから居てくれ。
そう思いながら、合い鍵で中に入り、一気に血の気が引いた。
部屋という部屋のドアを、全て開いたがどこにも澄香の姿はない。
嘘だろ。
英司。まさか、アイツ・・・。
澄香を探したいが、もう出発時間が迫っていた。
今日は大型の取引があり、休む訳には行かない。
焦りと不安が入り混じった状態で、部屋を後にした。
きっとメールに気付いた澄香から返信があるはずだ。
まさか澄香が俺から離れたりしない。
そう強く思い込み、出張先へと向かった。
合間に携帯を確認していたが、澄香からの連絡はなかった。
次の日も。
その次の日も。
結局出張の間、毎日メールや電話をしたが、それに澄香が応じる事はなかった。
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