260人が本棚に入れています
本棚に追加
/237ページ
とりあえず、澄香の帰りを待とうと中に入る。
荷物を玄関に置き、電気を付けソファーに身を預けた。
もう何度も訪れている部屋なのに、全く落ち着かない。
部屋にまで拒否されてるように感じた。
もう一度、メールを送る。
どこにいると。
やっぱり返信はなくて、焦燥感だけが襲ってくる。
まさか、また英司といるのか?
いや。
寧ろ、あれからずっと、英司といるのかもしれない。
考えれば考える程、深みにはまっていく。
澄香を失うのか?
ふと、その思いが頭を過ぎると、心が絶望と喪失感に埋め尽くされた。
そんな想像しただけで気が狂いそうだ。
しかし、何度も連絡を入れても、状況が変わることはなく、結局一睡もしないまま朝を迎えた。
澄香は帰って来なかった。
その事実が、俺の感情を黒く塗り潰す。
許さない。
俺を裏切るなんて。
俺から離れるなんて。
絶対に許さない。
メールを作成する。
勿論、送信先は澄香で、今の心情を隠すことなく入力した。
『俺から逃げられると思うな。絶対に見つけ出してやる。どんな手段を使ってでも。』と。
最初のコメントを投稿しよう!