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一旦、自分のマンションに戻り、荷物を置く。
さて、どうするか。
とりあえず会社に電話を掛け、体調不良を理由に休みを貰った。
一度も欠勤なんてしたこともなかったせいか、あっさり受理され胸を撫で下ろす。
澄香の店のオープン時間まで、まだ時間がある。
既に俺の思考は、澄香を見つけることと、澄香との未来しかなかった。
徐に部屋の荷物を纏めて始める。
一人暮らしといえども、就職してから今まで住んでいたのだから、それなりに荷物がある。
必要なものをダンボールに詰め、いらないものをゴミ袋に纏めていく。
キッチンと洗面所、風呂場を片付けたところで、時計を見る。
もう澄香の店はオープンしている。
携帯を操作し、店の番号に電話を掛ける。
広斗の会社の人間を装って、澄香の出勤を確認した。
どうやら今日は休みの様だ。
店に行って、連れ去る道は閉ざされた。
次に向かう場所は決めてある。
鍵を手にし、車に乗り込み走らせた。
近くのパーキングに車を停め、ビルの中に入る。
受付で用件を伝え、ロビーで待つこと数分で目的の人物が現れた。
『翔さん?どうしたの?』
驚いた様子の麻衣ちゃんに歩み寄った。
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