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その時は思いの外、早く訪れた。
慌ててビルから出てきて、タクシーに乗り込んだ麻衣ちゃんを追う。
見失わないように細心の注意を払って。
きっと澄香への道しるべになる。
姉御肌の麻衣ちゃんなら、間違いなく澄香の元へと向かうと確信があった。
それにしても、どこに向かうんだ。
澄香のマンションの前を通り過ぎ、着いた先は一軒のマンション。
そこで降りたのを確認して路駐し、エントランスのポストの名前を確認する。
思った通り。
倉田と書かれたポストの部屋番号を確認して、車に乗り込む。
こんなに近くに住んでいたなんて。
怒り以外の感情はなかった。
余裕を与えて隙を作り、そこを突いて澄香を連れ出す。
しかも、あそこからまだ出してはいけない。
どうしたらいい?
ふと、思い立った場所に向け、急いで車を走らせた。
着いたのは澄香の店。
中に入ると、若い男が一人、俺を出迎えた。
前に澄香が拓海って言ってたのを思い出す。
睨み付けながら口を開いた。
『澄香は?』
キョトンとしている拓海にもう一度詰め寄る。
『オーナーですか?オーナーならお休みですけど。』
『本当はいるんだろ?隠してるのか?』
目に入った、スタッフルームに足を踏み入れ、拓海の制止も気にせず、暴れまくった。
これで澄香に連絡が行くだろう。
まだ居所を俺が知らないと思い込ませ、しかも麻衣ちゃんが心配して出ないように言う筈だ。
あとは思惑通りに進むことを願うのみ。
急いで元来た道を戻って、マンションへと向かった。
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