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役所に婚姻届を取りに行き、自分の欄を全て埋める。
それを胸ポケットにしまうと、宝石店へと向かった。
長年の付き合いで、指輪のサイズはわかる。
デザインをどうするか。
端から順に見ていき、ふと一つの指輪に目が留まる。
シンプルながらも、華奢なデザインで澄香の好きそうな、それを見せてもらう。
うん。
やっぱりこれだな。
婚約指輪ではなく、結婚指輪。
ペアの指輪も見せてもらったが、やはりこの指輪に決めた。
サイズ直しに時間がかかると言うので、注文書に記入をする。
仕上がりは土曜日。
丁度、引っ越しの日と重なったが、なんとか取りに来られるだろうと了承した。
全てが終わったのが17時30分。
ゆっくりし過ぎたか。
英司が帰ってくる前に、澄香を奪わなくては。
慌てて英司のマンションへと向かう。
エントランスの前に乗り付け、エレベーターを降りると、ドクドクと脈打ちが早くなる。
やっと澄香に会えるんだ。
喜びを隠しきれない。
部屋番号を確認して、一旦深呼吸をする。
心を落ち着かせて、チャイムを鳴らし、その時を待った。
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