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ベッドに澄香を寝せ、手首を頭上に固定し、目隠しと足の拘束を外してやる。 澄香の横に腰を降ろし顔を覗き込んだ。 『どう?俺達の新居。急だったからベッドしかないけどな。』 意味が分からないというような表情を浮かべる澄香を見て、ゆっくりと口角が上がっていく。 『俺達、結婚するんだよ。澄香は、これから葛城澄香になるんだ。』 言いながら、胸に熱い思いが込み上げる。 どれほど、この日を待ちわびたか。 呆然といった様子の澄香が呟く。 『何を言ってるの?』 『ん?初めからこうなる事、決まってただろ?』 出会ってからずっと。 いつか澄香と、そう思ってきた。 徐に、リビングに行き、脱ぎ捨てたジャケットの内ポケットから用紙を取り出し、澄香の元へと戻る。 それを澄香の目の前に広げ伝えた。 『澄香が書いて提出するだけ。勿論、書くよな?』 その瞬間、澄香が顔を背ける。 『書かない。私は翔と結婚するつもりないから!』 気が付いた時には、澄香の頬に平手打ちをしていた。 澄香の上に馬乗りになる形で、顔をこちらに向け、婚姻届を書くように言っても首を縦に振らない。 そして、最も聞きたくなかった言葉が、澄香の口から紡がれた。 『書けないよ。私、他に好きな人がいるの。』 『英司か。』 俺の言葉に首を振り、違うと言う澄香が、余計に苛立たせる。 俺以外の奴の事が好きだと言い、そして庇おうとする姿。 何もかもが気に入らない。 『まあどっちでもいい。澄香が誰を思っていても関係ない。 お前は俺と一生ここで暮らすんだから。もう逃げられると思うな。 覚悟しろ。もうここからは出られねーんだよ。』 投げ捨てるように言えば、今度は澄香が声を荒げる。 『嫌!もう翔とは居られないの!お願いだから私と別れて!』 そこで完全に俺の怒りの限界を超えた。 バシッと手を揚げると、澄香の頬が赤く染まる。 この行為自体、何も感じなくなってしまっていた。 澄香が悪いから。 俺から離れようとなんて考えるから仕方ない。 頭の隅で思いながら、服に手を掛ける。 『ふざけるな!お前は俺の物だ!』 弾け飛んだ釦を構うことなく、その胸元に顔を埋める。 泣き叫ぶ澄香をそのままに行為を進めた。 『誰にも渡さない。』 そう呟きながら、澄香に欲をぶつけた。
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