260人が本棚に入れています
本棚に追加
/237ページ
そんな私の様子に気付いたのか、両手で頬を包み込み、英司が顔を覗き込む。
『一緒にいよう。澄香だけが選んだ訳じゃない。俺も澄香を選んだんだ。
澄香の重荷を俺も背負うから、二人で幸せになろ?』
我慢してた涙が滑り落ちる。
『私・・幸せに・・・なっても・・いいの?』
濡れた頬に、指で拭いながら、英司の優しい声が届く。
『うん。俺の彼女になって。澄香、ずっと一緒にいよう。』
頷きながら、英司の背中に腕を回す。
それを受け止めるように抱き締めてくれた。
私の涙が止まるまで、英司の胸の中に収まっていた。
漸く落ち着いた頃、英司が立ち上がり、ケージの方に向かっていく。
振り向きながら口を開いた。
『澄香、レインが待ってる。』
そういえば、翔から連れ出された時、ケージから吠えてくれてたっけ。
急いで駆け寄ると、レインが尻尾を勢い良く振りながら、見上げてくる。
『レイン!心配かけてごめんね。』
抱き上げると、顔を舐めてきた。
レインをソファーに降ろし、撫でていると頭上から、からかうような声がしてくる。
『澄香、その格好もそそるけど、これ履いたら?』
英司の言葉に、自分の姿を見て我に帰る。
今着ているのは英司から借りたシャツだけ。
男物のシャツだから大きいが、それでも太ももの半分ぐらいは出ている。
辛うじて、下着を付けていて良かった。
真っ赤になりながら、英司の差し出したスウェットを受け取り、慌てて寝室に駆け込んだ。
後ろから英司が笑っているのを聞きながら。
最初のコメントを投稿しよう!