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独身ではあるけど、一応彼氏はいる。 それが先程の電話の相手。 葛城翔。 私より3歳上の35歳。 付き合って5年になる。 広告代理店勤務で、若くして課長の座に付き、どうやら次期部長との声もあがっているみたい。 そんな翔と出会ったのは、無理やり人数合わせで連れて行かれた合コン。 興味のなかった私は、端でアルコールを飲みながら時間が過ぎるのを待っていた。 その様子に気付いてか、話し掛けて来た翔と何度となく言葉を交わすうちに意気投合し、 3回目のデートで付き合うことになった。 容姿端麗で経済力もあって、優しくて話題も豊富で楽しくて。 居心地はいいし、5年も付き合っていれば気も知れているし、普通ならそろそろ結婚なんて考えてもいい位だと思う。 でも、翔には唯一の欠点がある。 それは女癖の悪いところ。 付き合って半年位の間は幸せだった。 それからはというと今日みたいに会う約束をしていても、ドタキャンなんて日常茶飯事。 翔の言い訳は『急な接待が入った。』とか『妹が急に訪ねて来ることになった。』とか。 最もらしい理由だけど、その接待って言っていた日に女の子と腕を組んで歩いて居るのを見てしまったり、 妹なんて居なくて実在するのは姉だったと聞かされた日には、呆れて何も言えなくなった。 最初は問いただしたり責め立てたりしていたけど、のらりくらりと交わされて結局宥められて。 その内、翔が変わってくれると信じていた心は、いつからか翔は病気だから仕方ないと思う心に変わってしまった。
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