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別れようと切り出したこともあったけど、いつも決まって翔は私の欲しい言葉をくれる。 『俺にはお前しかいないから。』 『お前だけだよ。こんな俺の側に居てくれる奴。』 『お前のことはマジだから。』 そんな事を言われると、つい許してしまう。 多分、翔もわかってて言っているんだろうけど。 本当にズルい男。 でも・・・。 結局、既に好きかどうかわからないのに、甘い言葉を囁かれてぐらつく私が一番ズルい。 情? そんなんじゃない。 独りになりたくないだけ。 この歳で新たに出会いを探して、一から始めるのが面倒なだけ。 仕事なら出来たことも、プライベートになるとまるで駄目。 ほらね。 やっぱりズルいのは私なんだ。 だからといって、悪いなんて思ってもいないけど。 あきらめ癖のついた気持ちを抱えながら、自宅へと足を進める。 明日は休みだというのに、今日は翔と会う約束をしていたから、もちろん予定なんてない。 久し振りに一人で飲もうかな。 途中で立ち寄ったコンビニで、スパークリングワインを買って家路についた。
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