並んで歩く帰り道

3/4
前へ
/77ページ
次へ
希春の元夫はいつもはるか遠くの先を歩き、振り返る事がない人でした。亭主関白というより、パワーハラスメントの家庭版みたいな人でした。離婚前の数年は元夫から無視をされ続け、精神的に限界でした。そんな時に元夫に若い女が出来てあっさり離婚したいと言い出し、5年前に離婚し、今は平穏に息子達と幸せに暮らしているので、離婚して本当に良かったと思っていました。 だから些細な優しさ?当たり前の事? 柚多夏の行動が希春にはとても嬉しく思いました。 『まさか、また会うとはね。ビックリしましたね』 と 希春が話しかけると 『本当だね。再会するとは思わなかったね』 と 柚多夏も驚いていました。 『爆睡してましたよね?』 と 希春が言うと 『あゝ、起こしてくれたら良かったのに』 と柚多夏が恨めしそうに言いました。 希春はちょっと間をあけて 『…皆、何か言ってませんでした?』 と聞くと 柚多夏が少し恥ずかしそうに 『笑われてた』 …やっぱり… 希春は心の中で納得しました。 『寝言がちょっと大きな声でした』 と 希春が言うと 『なんて、言ってた?』 と柚多夏は恐る恐る希春に聞いて来ました。 『…起こそうとしたら、 「若いコのがいい」 って大きな声で言ってました』 希春は少し意地悪に言いました。 柚多夏はまた固まりました。 そして、苦笑いしてました。 『大人気なかったです。起こしてあげなくてゴメンなさい』 と 年上風をちょっと吹かせながら希春が謝りました。 『酷い酔っ払いだったからな…仕方ないよ』 と 柚多夏が言いました。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加