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希春の元夫はいつもはるか遠くの先を歩き、振り返る事がない人でした。亭主関白というより、パワーハラスメントの家庭版みたいな人でした。離婚前の数年は元夫から無視をされ続け、精神的に限界でした。そんな時に元夫に若い女が出来てあっさり離婚したいと言い出し、5年前に離婚し、今は平穏に息子達と幸せに暮らしているので、離婚して本当に良かったと思っていました。
だから些細な優しさ?当たり前の事?
柚多夏の行動が希春にはとても嬉しく思いました。
『まさか、また会うとはね。ビックリしましたね』
と 希春が話しかけると
『本当だね。再会するとは思わなかったね』
と 柚多夏も驚いていました。
『爆睡してましたよね?』
と 希春が言うと
『あゝ、起こしてくれたら良かったのに』
と柚多夏が恨めしそうに言いました。
希春はちょっと間をあけて
『…皆、何か言ってませんでした?』
と聞くと
柚多夏が少し恥ずかしそうに
『笑われてた』
…やっぱり…
希春は心の中で納得しました。
『寝言がちょっと大きな声でした』
と 希春が言うと
『なんて、言ってた?』
と柚多夏は恐る恐る希春に聞いて来ました。
『…起こそうとしたら、
「若いコのがいい」
って大きな声で言ってました』
希春は少し意地悪に言いました。
柚多夏はまた固まりました。
そして、苦笑いしてました。
『大人気なかったです。起こしてあげなくてゴメンなさい』
と 年上風をちょっと吹かせながら希春が謝りました。
『酷い酔っ払いだったからな…仕方ないよ』
と 柚多夏が言いました。
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