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『あ、ここで大丈夫、あのマンションだから』
と希春は 交差点で左側に見えるマンションを指して言いました。
『近いな、うちはあっちのコンビニの手前のマンションだよ』
と 柚多夏は右側にあるマンションを指しました。
『何か、近くてビックリですね』
と希春が言うと
『ビックリだね』
と 静かに大人っぽく柚多夏が言いました。
『ありがとう。また お店でお待ちしてます。お休みなさい』
と 希春が言いました。
『うん』
と 今度は少年のような言い方で柚多夏は短く言いました。
柚多夏と別れた後の短い帰路で
振り返りたい衝動にかられ、
つい振り返りました。
柚多夏の背中を一瞬見ました。
胸がいっぱいになり、恥ずかしくなりました。
…『うん』だって、なんか素っ気ないな。
他人行儀な挨拶が苦手なのかな?
でも大将にはちゃんと挨拶していたし、
私と親しく付き合いたいとか?
親しいにも色々あるけど…
いやいや、実は嫌われてるのかな?
39才の少年かぁ
可愛いのか?
変わったヤツなのか?
…やっぱりあの日の直感は
恋の予感だった?…
希春は自分がウキウキとして飛んで行ってしまいそうな気分になりました。
…だけど、アイツは若いコが好きなのよね…
…私は何を考えているんだろう。
どうかしてるな…
その夜、
希春は
いつまでも、
柚多夏への
想いを巡らせ、なかなか寝付けませんでした。
…いい大人なのに…
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