待たせた人と待ちぼうけの人

1/3
前へ
/77ページ
次へ

待たせた人と待ちぼうけの人

翌日、土曜日の朝 秋人に頼まれて、甘いモノを買いにコンビ二に行きました。 秋人は漫画だから徹夜で仕事をする日も多く、疲れるせいか朝から糖分を欲しがる事が多いんです。 アシスタントの分もあるので沢山のデザートを買う事がよくありました。 コンビニは柚多夏の住むマンションの隣りにありました。 よく行くコンビニなので柚多夏と会っていたかも知れない。と 思うと、ちょっと今日はソワソワしてしまいます。 柚多夏の住むマンションの前に男が一人立っていました。ゴルフバックを持っていました。退屈そうに見えたから、待ちぼうけだなと希春は思いました。 沢山のデザートやお菓子、サンドイッチやおにぎりを買い、丁度コンビニから出ようとした時、 雨がザーッと降ってきました。 …通り雨だな… 傘を持たないで来たから 希春はコンビニで時間を潰しました。 雨は時期に止み、希春が外に出たら… 柚多夏の住むマンションの前にさっきの待ちぼうけの人がまだいました。 …早朝から待ちぼうけで気の毒に…しかも雨まで降って… と知らない人ながら同情しました。 エントランスには屋根があったから雨避けになり難を逃れたようでしたが、大粒の強い降りだったから足元に跳ねていたみたいでした。 その男の前を通り過ぎる時に目が合いました。 暫くして、 マンションの前に車が止まり 『朝倉、待たせて悪かったな』 とバツが悪そうに 言いながら窓を開け顔を出しているのは柚多夏でした。 『佐城さん、珍しいですね。ゴルフの時に寝坊なんて』 と 待ちぼうけしていた男は言い、車に近寄りました。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加