最後の恋の予感?じゃ、なかったみたい

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希春(キハル)は蓼科に来ていました。 ほとんど付き合いが無い親戚、 父方の従姉の娘の結婚式に亡き両親の代わりに出席していました。 チャペルで結婚式が厳かに行われた後、 案内係りの女性に言われた場所に集められ、 今さっき会ったばかりの親戚と集合写真を撮りました。 新郎新婦が馬車で近くの真ん前に湖がある景色が良いホテルまで移動して行きました。 新婦新婦を見送ってから、 健康で歩ける割りと若い人達は徒歩で移動していました。 徒歩2、3分でした。 足腰の弱いお年寄り達はホテルで用意された電気自動車に乗って移動していました。 …馬車とは小っ恥ずかしい演出が未だにあるんだ…と感心しながら希春は徒歩で順路に従いながら披露宴会場であるホテルへ向いました。 ホテルに入り、広いロビーの高級そうなソファに行儀良く座りました。 日頃からヒールのある靴を履いていても新しい靴は疲れました。 11月半ばだというのに近年の異常気象のせいか、まだ冬の訪れを感じさせない例年より暖かい日が続いていました。 しかし、やはりここは蓼科、歩きながら見た紅葉が綺麗でした。 希春の自宅がある横浜よりずっと冷たい風が吹いていました。 暫くしたら、案内人の指示があり、新郎新婦が披露宴会場の入口で和かに出迎えてくれ 会場内に入りました。 彼女達は今日初めて希春に会ったばかり、名前も覚えているのか分からないけどニコニコと幸せいっぱいの笑顔で丁寧に挨拶してくれました。 希春もお祝いの言葉を昔からの知り合いの様に和かに贈っていました。 希春の席は付き合いが薄いせいか人数調整されたようで、 親戚の席ではなく、 一つ上座にある席でした。 新婦の祖母が詩吟の先生でそのお弟子さん達と同じテーブルで入口側を背に新郎新婦が見える席に希春の席がありました。 同席の皆さんは希春の親くらいの年配の方ばかりでした。 希春の左側の席に70代のご婦人が反対側の同年代のご婦人に話し掛けながら座りました。 希春が席に着いて暫くして、 背中に気配を感じました。 ……… 言い表せない ふわっとした空気と脳がピクッと刺激されたような感覚。 なぜか、理由もなく一瞬で絶対にこの人と気が合うと感じました。性別も年齢も分からないのに…。 その人は希春の右側の席に着きました。 希春がチラリと見たら、目が合い軽く会釈をしました。
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