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……男、若い、30代後半から40才くらい。
ない、ない、あり得ない。
おばさんが相手にされる訳がない。
今の直感は錯覚だわ。
もう46才だぞ、どうかしてる私。もう、恋なんて出来るはずは無い。する気もない……と心の中で一人納得していました。
左隣りの年配のご婦人は反対側のご婦人と話しが盛り上がっていました。
右隣りの男性の右隣りのご婦人も反対側のご婦人と話していました。
仕方なく、知り合いがいない私と知り合いがいなさそうな隣りの男性となんとなく話し始めました。
最初は社交辞令程度にどこから来たか聞きました。
二人とも自宅が横浜だったと分かると親しみが湧き和んできました。
男性は、男性のお母さんが新婦の祖母の詩吟のお弟子さんで、一週間前に自宅の庭で転び 骨折し、入院してしまったから急遽 代理で出席する事を頼まれて来たんだと話しました。
もともとは横浜に住んでいたお母さんは、お父さんが亡くなり、故郷の蓼科で誰も住む人が居なくなっていたお母さんの御実家をリフォームして住んでいると、
詩吟の先生には引っ越したばかりの心細いと思っていた時からとても親切にされ、今も御世話になっていると話していました。
希春も亡き両親の代わりに出席したけれど、親戚と言っても父方の親戚は亡くなった父しか分からないくらいで、亡くなった母も私も父の故郷に来る事はなく疎遠になっていたから全く知らない所に来ていると話しました。
話し始めは、普通に始まりましたが…
割りと二人共に沢山お酒が飲める方でした。
希春に関しては 若い時にはザルと言われていました。
お酒が入ったせいか、
徐々に男性の口が滑らかになり、一度しか会わない知らない人と言う事もあり、
つい話しが深まり結婚についての話しになりました。
その男性は独身だと言いました。
希春は結婚は大変なだけ、妥協するくらいなら独身がイイと披露宴には場違いな事を小声で男性に話しました。
男性になぜ結婚しなかったのかと聞いたら
社内恋愛をしていた先輩が別れた後に女性から酷い目にあったという話を聞いて、社内恋愛はしないと決めた事、しかし社外での恋愛も結婚までには至らず今現在独身だと言いました。
そして、今は彼女もいないと言っていました。
希春は、似てない二卵性双生児の息子達の事を交えた話しをしていたからか、
男性は希春が既婚者だと思ったようでした。
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