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…佐城 柚多夏(サキ ユズタカ)と読むんだ…
希春は帰りの新幹線で披露宴会場の座席表を見て察しはついても実際になんて読むのか分からない変わった名前だと思っていました。座席表を見たのは好意があったからではなく、逆の意味の好奇心からで、暇つぶしでもありました。
『大将、この間、お袋の代わりに結婚式の披露宴に出て…』と佐城が話し始めました。
柚多夏は蓼科の披露宴での事を店主の将彦に話し始めました。
柚多夏の母親が入院して、
母親の代わりに全く知らない人の披露宴に出席する事になって、
隣りの席の女の人と話し始めた話しになったら
店主の将彦が口を挟みました。
『若いのかい?』と
『いいや、40過ぎだね。50近いかもな。見た目は若く見えたよ。でも大きな子供がいるみたいだし』と柚多夏は答えました。
『亭主持ちかい?』と店主の将彦が言いました。
『バツイチ』と柚多夏は答えました。
…廊下のソファでの会話の記憶があるんだ…
希春はちょっとドキドキしてしまいました。
希春は自分の話しをされていたので、何だか落ち着かなくなりました。
なるべく二人から背を向けて洗い物をしながら耳だけを後ろの会話に集中しました。
『佐城さん、幾つだっけ?』と店主の将彦が聞くと
『39。来年は40だよ』
と柚多夏が答えました。
『佐城さんが女の話をするなんて珍しいね。イイ女かい?』と店主の将彦が柚多夏に聞きました。
希春は、知らないとは言え 店主将彦の余計な一言で、目の前でジャッジされる羽目に…
背中は更に緊張、耳は更に大きくダンボに
『…まあまあ』と、
少し考えてから柚多夏は答えました。
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