1人が本棚に入れています
本棚に追加
『 此処からそんなに離れてないんだが…この町にちょっと変な噂を聞く家があってな…
そこを調査してもらいたいんだ 』
神威の口から発せられたのは何処か躊躇うような声音で言う調査の依頼
てっきり荒仕事になるだろうと予想していた零夢は暫し神威と翼の様子を眺めていたが、数分の後に軽くうなずいた
『 うん、わかった
家の調査をすればいいんだね? 』
『 あぁ、そうだ
だが俺達も実際に行った訳じゃないから何が起こるか分からないんだ
だから色々と準備をしていった方が良いと思う 』
『 ありがと、翼君
でも大丈夫だよ
これでも結構強いんだから 』
翼の自分を心配するように伺う様子を見て心配はかけさせまいと満面の笑みを浮かべて答える零夢
そんな様子を見てようやく決心が付いたのか複雑な表情をしていた神威も翼も安心したのか玄関の扉を開けて一歩外へと出る
完全に離れる前に翼が進めていた足を止めて体ごと零夢の方に向きなおる
『 じゃあ、頼む
あ…それと何かあったらいつでも通信繋いで大丈夫だからな? 』
『 大丈夫だって言ってるのに…翼君って昔から心配性だよね… 』
未だに心配してくれることに昔を思い出して楽しそうな笑みを浮かべる零夢を見て、今度こそ納得した様子の翼は自嘲した笑みを浮かべながら軽く手を振って今度こそ館から離れていく
二人が見えなくなるまで玄関先で見送ると深い溜め息を漏らした後に
太陽が完全に昇り、海のように真っ青に染まった空を見上げて口を開く
『 さてと…
じゃあ久しぶりの依頼だし…頑張ってみようかな 』
『 母様…
何処かに行っちゃうの? 』
『 うん、ちょっとしたお散歩してくるから…
お兄ちゃんとお姉ちゃん連れて来て貰えるかな? 』
『 うんっ、わかった! 』
零夢の言葉を聞いて嬉しそうに館の中に駆け出していく涼華
そんな涼華の様子を見て微笑みを浮かべていた零夢だがふと影のある表情を浮かべて自身の手を見詰めると力強く握り締めた
最初のコメントを投稿しよう!