15024人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の応えを待っているのか、アリサはそれ以上何も言わなかった。
故に、俺は真実を話す事にしたのだ。
「妹に似ているんだ」
「姫様が、ですか?」
「ああ。俺の唯一の生き甲斐だった」
「“だった”?」
「……死んだんだ。7年前に。事故で」
俺が10歳で、あいつが8歳の時。
俺の目の前であいつは……。
「……すみません。そうとも知らずに」
「いいんだ。もう過去の事だ」
改めてそう口にすると、胸にくるものがあった。
「だからなのか、リアを見ていると昔を思い出すんだ」
色のある世界を。
生きている事に喜びを感じていた事を。
「……そうですか」
「けど、あいつの代わりはいない。それにリアはリアだ」
心の傷は癒える事はないだろう。
だが、新たな幸せで塗り替える事ぐらいなら出来るんじゃないか?
最初のコメントを投稿しよう!