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「聞いている。昼寝をする時にアリサが膝枕をしてくれるんだろ?」
「……ソラ様がいなくなると姫様が哀しみます」
俺のボケをスルーして、アリサが今にも泣きそうな目でこちらを上目遣いで見る。
その言葉で思った。
人との関係を築くとはこういう事なのだろうか、と。
誰かがいないと寂しい。
誰かが死んでしまうと哀しい。
その辛さを知っているはずの俺が、そのような思いをさせてしまい、どう反応していいのかわからなかった。
「それに……私もソラ様がいなくなるのは嫌です」
付け加えられたそれを聞き、俺は不思議な感情を覚えた。
胸の奥が温かいというか……懐かしい感じがした。
これは確か……人を好きになるという事なのだろうか。
ここは廊下。
だから、人がいてもおかしくはないのだが、確認してみたが回りに人はいなかった。
故に俺は本能のような何かが下す命令に従ってみることにした。
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