奔放勇者の魔力性質

28/40
15024人が本棚に入れています
本棚に追加
/576ページ
「聞いている。昼寝をする時にアリサが膝枕をしてくれるんだろ?」 「……ソラ様がいなくなると姫様が哀しみます」 俺のボケをスルーして、アリサが今にも泣きそうな目でこちらを上目遣いで見る。 その言葉で思った。 人との関係を築くとはこういう事なのだろうか、と。 誰かがいないと寂しい。 誰かが死んでしまうと哀しい。 その辛さを知っているはずの俺が、そのような思いをさせてしまい、どう反応していいのかわからなかった。 「それに……私もソラ様がいなくなるのは嫌です」 付け加えられたそれを聞き、俺は不思議な感情を覚えた。 胸の奥が温かいというか……懐かしい感じがした。 これは確か……人を好きになるという事なのだろうか。 ここは廊下。 だから、人がいてもおかしくはないのだが、確認してみたが回りに人はいなかった。 故に俺は本能のような何かが下す命令に従ってみることにした。
/576ページ

最初のコメントを投稿しよう!