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しばらくにこにこと傍観者に徹していると、耳障りの悪い声がスピーカーから流れた。
《そこの子たち、説明中だよ?静かにしてね?》
瞬間、ピタッと静まるみんな。
ひかちゃんは今にも泣きそうに唇を噛み締め、ゆずゆずはばつが悪そうに俯く。
しずくは終始にこにこ楽しげで、翠は無表情でステージをガン見している。
叶愛ちゃんは壇上に向かって、ペコリと頭を下げていた。
あ、ちなみに言うとね、親衛隊の総隊長って、なぜか叶愛ちゃんになってるみたいなんだぁ。
だから、俺はただのヒラ。
確かに、副隊長だししっかりしてるんだけど、変なのだよね~?
…と話は戻るけど、止めなかった俺も悪い、よね。
こっちに非があるから何とも言えないし。
やっちゃったなぁ。
それにしても、スピーカーや周りから舌打ちっぽい声が聞こえたのは気のせいだよね~?
うんうん、気のせい気のせい。
《では、捕まった人と捕まえた鬼の人はステージ脇に来てください》
「あ、行かなきゃだった~」
「行くのか?」
翠が腕を組みながら訊ねてきた。
「う~ん。不本意だけど、捕まっちゃってねぇ」
「じゃあ、一緒に行く」
「ん~?翠も捕まっちゃったの?」
翠って運動神経いいはずなのに…。
簡単には捕まんないはずだよ?
翠は顔を歪めて小さく頷く。
「まぁ、な」
「ボクが捕まえたんだよ~♪」
ぴょこん、と飛び出してきたのはにこにこ笑顔のしずく。
ほう。
しずくが、ね。
「ふむ」
「こいつ、変なことにだけ頭が回るから。ずる賢いんだ」
「ずる賢いって、ひっどーい。すーの馬鹿。ちょーっと罠、仕掛けただけじゃんか。ずるなんてしてないよ。流石のボクも傷付いちゃうぞ」
しずくは翠にあっかんべーをしながら、くすくす笑っていた。
傷なんて、絶対付いてないよ、うん。
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