第1章:出会い

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相手はなんとなく幼げで、でも今までに見たことのない顔だった。表現の仕方が分からない。本当に会ったことがないから。私とは別世界の人なんだろう。そう思っても隣を歩いてみたい。そう一瞬にして思った。 私は直ぐに立ち去った。会ってはいけない。私と彼の人生は別だろうから。今日会ったのは奇跡だろうから、この奇跡は忘れないでおこう。というより、あの顔は忘れられない。きっと何年経っても。そう思えた。 私は貸し出しの手続きを済ませ、急いで図書館を立ち去った。 彼が誰で何をしているのか全く知らない。年上なのか年下なのかも。でも初めて気持ちが揺らいだ。彼と一緒に居られたら………。なんて夢物語を考えてしまった。そんな日が何日も続いた。
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