序章

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タン タン タン タン…。 人々が寝静まった夜、廃墟と化したビルに足音が響き渡る。 少年は、古びた階段を上っていた。 ガチャッ。キィー。 埃がたまったドアを開けると、目的地の屋上に着いた。 錆びた手すりに体を預ける。 見下ろせば、何もないただの空き地だが、少年には深い闇に見えた。 そう見えたのは、真夜中ということもあるが、それだけが理由ではない。 このビルは、10階建て。 ここから飛び降りれば…。 少年は、目の前の酸化した鉄の塊に、足を掛けた。
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