第1話 いわくつき

9/51
前へ
/584ページ
次へ
敷地をぐるり囲む煉瓦塀の片隅にある、門柱のインターフォンに向かうと のばした指が震えた。 これを押しちゃったら、もう後には引き下がれなくなる。 『もうダメならダメで……』 事務員さんも最後には、どんより影背負って呟いてたしな 悩んでても仕方ない。 えい!! 半ばやけくそになって、インターフォンに指を押し付けると ピンポーン…… 呑気な音が響いた。 あーあ、押しちゃった。
/584ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加