来城

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「お~い、クリス!起きろ~。父ちゃん特製の最高のハンバーガーだぞ~!早く起きねぇと、父ちゃんがお前の分まで食っちまうぞ~!」 耳元で、乱暴なモーニングコールを受けているこの少年は、クリス。彼は、いつでも、どこでも、いつまででも眠ることのできる特技を持っている。その特技のせいで彼の父親、ブーストは大変な苦労をしている。 ブーストは、クリスが起きないのをみると、ため息を吐いて、一言「許せよ、息子」と言って、拳を振り上げた。そして、拳は一旦空中で止まり、一気にクリスの額に落とされた。 ゴスッと、鈍い音がクリスの部屋に響いた。次の瞬間クリスは絶叫した。「痛ってぇ!何すんだ、クソ親父!」 がっはっは、と笑ってこう言った。 「お前が起きねえから、父ちゃんの愛の鉄槌が下されたんだよ。ほれクリス、はよ着替えて、降りてこい」 そう言って、ブーストは下に降りていった。ブーストの巨体を支える階段がかわいそうな、音を出している。その音を聞きながら、俺は着替えた。 着替え終えた俺は、恐る恐る、額に触れてみた。すると、ぷく~と腫れている。俺は舌打ちをして、下に降りていった。 クリスは軽いから、階段はかわいそうな音を出さなかった。
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