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私が意識を覚醒させて目の前に広がるのは6畳一間の空間に空中に浮いた金属質の球体があった。
少なくとも私の記憶には空中に浮いた金属質の球体は見たこともないし、聞いたこともない。
過去に見た物でオーバーテクノロジーの結晶みたいな球体はズッシリと重そうな黒い球体が漫画に出てきたものが思い当たるが、此処に存在しているのは空中に浮いており、色彩も無機質な鈍い銀色をしているのでいつぞや見たといった球体とは全く似ていないし、全くの別物であると判断してもいいのではないだろうかと思う。
個人的にはこの球体が【ダンジョニスト】の象徴たる「ダンジョン」の管理を行うことが出来るデバイスではないのではないだろうか?
そんなことを考えながらも私はひとまず球体に近づくと、目の前に最初に出てきたディスプレイと同じようなディスプレイが球体から出現した。
ディスプレイには初老で隻眼の男性が映し出され、極めて厳つい声でメッセージと今後の目標を喋りはじめる。
『Welcome to Frontia World!
フロンティアワールドへようこそ。これより貴殿はダンジョニストとしてこのフォロンティアワールド内で生活していくこととなる。
貴殿を駆逐しようとして貴殿の住んでいるこのダンジョンへ数多くの「トラベラー」達がやってくることだろう。
貴殿はその「トラベラー」達を撃破していき、自らの糧としつつダンジョンを大きなモノへと成長させていくことで、このフロンティアワールド内に数多くいる「ダンジョニスト」の頂点へと目指していくことが我々ダンジョニストの最終目標となるのだ。
「トラベラー」の全滅はその頂点へとたどり着く為の副産物でしかない。我々、ダンジョニスト達はダンジョンを統べ、それがこのフロンティアワールドで最も優れた能力であるということを「トラベラー」達に【死】を以って教えてやろうではないか!』
この男性が言う台詞はまるで戦に出撃しようとする兵士達に投げかける演説に似通う所があるな。と思いながらも私は部屋に球体以外に何か無いかなと部屋を見回していた。
しかし、何も置かれていないし、出口になりそうなところもない。酸欠になったらどうしようかな?
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