君とアバンチュール

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握られた手が熱い。 顔も熱い。耳も熱い。 こんな姿誰かに見られたら死ぬ。 ふと、彼は立ち止まった。 「葵さん。」 熱が篭った声で呼ばれた。 「なん、だよ」 「今からキスします。」 「~ッ?!」 なにこいつ! 事前に言うか、普通ッ! 顎に手が掛かる。 鋭い目で捉えられた。 う、わ。 優しく、優しく、ゆっくりと。 柔らかに唇が包まれる。 先ほどの攻撃との触れ合いの ギャップが、俺をさらに混乱させた。 チュ、と音を立てて唇が離れる。 もっと激しくてエロいキスなんて 何回もしたことはあったのに。 …なのに、何故か今非常に恥ずかしくて いたたまれない。 「続きは、俺の部屋で、ね?」 また俺の手を引き どこか夢の国へ連れ去るように 彼は軽やかに前を歩いていた。 (『総長マジであの平凡と付き合ってる みたいだな。』『あんな乙女な総長初めて 見たぜ。』『『…可愛いなぁ。』』) end -
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