嘘つきの心臓

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『…お互い、溜まってるんじゃない? 一回だけヤろうよ。ねぇ、お願い』 自分のキャラにこれほど感謝したことは ない。快楽主義のやりチンなんて、あんま 褒められた噂じゃなかったけれど。 自分の本心だとか不安だとか全部その中に 隠してしまえたから。 (あんな言い訳でしか貴方に抱いてと言え ない俺を貴方は笑うでしょうか。) ー熱いシャワーのお湯をただただ浴びる。 ザァァァァ。 流れる水を、ぼーっと眺めた。 ケツが痛い。腰が怠い。胸が痛い。 ネコにまわるのは初めてだって言っとけば 良かったかなァ。でも面倒だって思われた ら嫌だし。 「…あーあ。やっちゃった」 知らぬ間に呟きが漏れる。 味を覚えた体は麻薬みたいにまた会長を 求めたくなるってわかってたのに。 (いっそ体だけの関係でも良いか) 「おい、いつまでシャワー浴びてんだ!」 外から彼の声が飛んだ。 「今出まーす!」 キュッと蛇口をキツく締める。 その時、次にここを使う人は誰なんだろう とふと思ったが、そんな考えを頭を振って 切り替えた。 -
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