嘘つきの心臓

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「そうか」 俺の言葉に、彼はそれだけ言った。 そして期待外れだと言わんばかりに 溜息をつく。 「なに?俺が会長のこと好きだとでも 思ったの?」 俺はその先を追った。 「俺の勘違いみたいだな」 「会長は自意識過剰だねェ」 ケラケラと俺は笑う。 「ーでも、会長はセックスが上手だから これからも寝てあげても良いよ」 「なんだもう病みつきか?」 「そんなとこ」 後ろから彼に抱き付いた。 振り向くな、そう強く思いながら。 お願いだから泣いてるのに気付かないでよ。 (どうか、どうか。 この嘘つきの心臓に牙を突き立てては くれないでしょうか。) end
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