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「大丈夫ですか?」
パチリと目を開けると、目の前には
心配そうに歪められた輝く鳶色。
その無害そうな彼の雰囲気に
また、俺は安心して
意識を手放した。
「ぎゃっ、会長死ぬなーッ!」
…
目を覚ます。見慣れた天井。
さっきのは夢だったのか。
にしても、あの少年は?
「ーん、…あれ?どこだよ、ここ。」
天井の様子は一緒だったが
部屋の様子は全く俺の自室とは
違うものだということに気づいた。
「…俺の部屋です、会長。」
お、夢の中の少年。
…あぁ、夢じゃないのか。
見知らぬ部屋の見知らぬベットに寝ていた
俺にこの部屋の主であるらしい
見知らぬ少年が、黙ってコーヒーを
差し出してくれた。
ミルク入りで、なんとも胃に優しく
染み込んでいく。
また、思わず微睡みそうになった。
「…眠いなら寝ても結構ですよ。
もう、随分寝ていましたけどね。」
「書類、終わってない。」
俺がやらなきゃならない書類。
今まで寝ずに頑張ってたのにこのままじゃ
水の泡だ。
必死で、この居心地の良いベットから
這い出ようとすると彼に止められた。
「身体、壊しますよ。
数日なにも出来ないより
今しっかり寝た方が良いでしょう。
…白鳥会長、大丈夫、です。
ゆっくり、目を瞑って。
大きく息を吸って、ほら。」
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