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ー深夜の放送室。
今日は僕の担当の金曜日。
いつも通りに進行していく。
『ではでは、次のお便りでーす!』
ランダムに選ばれたメッセージがパソコン
に表示された。
(えっと…なになに)
『P.N.いちごさん!
「僕には好きな人がいます。でも、その
人は人気者だし好きな人がいるようです。
僕は諦めるべきでしょうか」』
片想いの相談だ。
(わー、すっごい共感できる!)
僕もこの前までそうだったから。
『…そっかぁ。でも諦めるのは勿体ないと
思うな。自分でも思ってもみないことって
起きるんだって最近実感したんだ。だから
頑張ってみることを僕はオススメするよ!』
顔も分からない子に、心の中で僕はエール
を精一杯送った。
…
「悪い、森野。遅くなった」
「いえ気にしないで下さい、…って
松崎先輩、その子…誰ですか?」
「僕は宇野光希。
よろしく、森野江くん」
まるで宣戦布告のように先輩の前に進み
出た、猫のような目が特徴的な可愛い人。
ネクタイの色が紺色だから、先輩と同い年
だということがわかる。
週に2回の松崎先輩との昼食の約束。
付き合って、まだ一ヶ月。
僕にとってものすごく大事で幸せな時間
…だったんだ。
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