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「…よろしくお願いします」
決して友好的ではない挨拶。
僕と宇野先輩の間で、火花が散った。
「僕が鳴海に無理言っちゃったんだ。
だから鳴海を責めないでね?」
「悪いな、森野。光希がどうしてもって
煩くて」
「いえ…僕は全然、大丈夫です、ハハ」
(~ッ名前呼びとか羨ましい!
僕だって、"江"って呼ばれたいのに!)
付き合ってるのに、僕らはお互いのことを
苗字で呼び合っていた。
「じゃあ、飯食べようか」
「うん!」
松崎先輩の言葉で、僕らは中庭のベンチに
腰掛ける。松崎先輩を間に入れ、宇野先輩
と僕で挟んだ。
「鳴海はもうちょっと野菜食べなよ!
今度お弁当作ってきてあげるからさ」
「別にいらねぇよ」
「またそう言うこという!」
「光希だって、もっと飯食えよ。
そんなちっせぇ弁当箱じゃ死ぬぞ」
「心配してくれてるの?嬉しいなァ」
「………」
ポツーン。
なんだろう、この疎外感。
あれ?三人でご飯食べてるんだよね?
…ハァ。
松崎先輩は宇野先輩につきっきりだった。
一人で黙々と箸を運び続けたおかげで
今日はご飯の減りが早い。
(もう、なんで連れてきちゃったんですか!
松崎先輩のバカ!)
僕は悔しさと哀しさで泣きそうになる。
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