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「ねぇコン、何かあったんデショ?
お話聞かせてよー」
こっちこっち、と中から手招きされて
僕は靴を脱ぐと窓枠に手をかけた。
…
「ーっていうわけなんです」
「なるほど~」
「そりゃあ、質が悪いな」
先程の出来事を簡単に説明すると、2人は
揃って渋い顔をする。
窓際の壁に体育座りをしてもたれる僕と
椅子に座った先輩たち。
クワ先輩の茶色い髪が風で靡く。
ツキ先輩は月曜、クワ先輩は火曜日の担当
で親衛隊が作られる程にかっこいい。
だから恋愛経験も豊富だろうと、僕は
助言を求めた。
「でもさァ、彼氏さんはちゃんとコンの
こと好きなんデショ?なら心配すること
ないと思うけどな」
「コンが引いたら取られるよ。
恋人っていう自信を持たなきゃ」
「…そう、ですよね」
僕がこんなんじゃダメなんだ、と先輩の
言葉で気付いた。
(もう宇野先輩から逃げない!)
「すみません、ありがとうございました。
僕、頑張ります!」
ー拳を上げ、勢いで僕は立ち上がった
「あ…いま立ち上がっちゃ…!」
「…森崎くん?」
後ろから、声。
僕は恐る恐る振り向いた。
「宇野、先輩…」
contine.
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