素直になれる5秒前

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ー俺は、親衛隊というものが大嫌いだ。 自分勝手に問題ばかり起こしやがって 誰がその処理をすると思ってるんだ、と 今月の書類の束を見て憤りを覚えずには いられない。 でも、例外はいつでもどこでもいるもので。 …親衛隊総隊長、有村蓮(ありむら れん)。 ずっと空いていた総隊長というポストに 十年ぶりに会長親衛隊隊長だった彼が 任命された。 転校生がやって来たことによる学園の 無法地帯化を恐れたためだ。 慣れない環境であるはずなのに弱音も 吐かず彼は1人で努力している。 俺は俺なりに、彼を評価していた。 コンコン 「ー有村、入るぞ」 今日の親衛隊関係の書類を届けるため 臨時で作られた”総隊長室”の扉を開ける。 部屋からは不思議なくらい音がしなかった。 「おい?居るのか」 机には大量の資料や書類。 椅子の方に回り込むと、ペンを持ったまま 力尽きたように眠っている彼がいた。 「眠ってる場合だと思ってるのか? これだから親衛隊は…」 などといつもなら嫌味の一つでも 言うの だけど。(嫌味を言おうとしてるわけでは なく、褒めてやろうと思っても嫌味な言葉 が出てきてしまうのである) -
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