素直になれる5秒前

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睡眠不足が続いてるのだろう。 ー今回ばかりは、寝かしておいてあげよう ではないか。 寝顔も隙なく綺麗だな、と片隅で思う。 「…偉いぞ、有村」 面と向かってじゃ言えないが、俺はお前を 認めてるんだ。 艶やかな茶色の髪に、自然と手が伸びて いった。 ーキィ 「有村総隊長、休憩をー」 「ッ!!」 突然入ってきた生徒に驚き有村から距離を とる。その拍子に後ろにあった椅子に 足をぶつけ、ガタッ!と大きな音をたてて しまった。 「…ん…、」 その音で有村は目を開ける。 「あれ、風見風紀委員長様!こんにちは」 俺を発見した生徒が、もう既にこの部屋で は見慣れた俺に挨拶をする。 「…風紀委員長…?」 その言葉で、有村の頭は一気に覚醒した らしい。「アーッ!!すみません!書類も 終わってないのに居眠りなんて!!」 彼はババッと再び書類に向かい始めた。 そして、面と向かった直後に俺の口から 出て来るのは。 「…ハァ。この程度で疲れたなんて言って るようじゃ、まだまだか弱いお坊ちゃん だな。そんなんなら総隊長なんてやめろ」 嫌味、嫌味、嫌味。 -
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