素直になれる5秒前

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「はい…すみません。気をつけます」 明らかにシュンとした彼の声。 (違うんだ!俺が言いたいのは、休むことも 重要だってことで、) 「自己管理くらい、もう出来るだろ? 倒れて困るのは俺の方なんだ。 早く書類終えて寝ろ。要領悪いんなら 仕方ないけどな」 (やっぱりちがーーう!) 「ッごめ、なさい…」 キュッと唇を噛んで涙を耐える彼。 「泣けば良いってもんじゃないだろ。 謝ってないで手を動かせ」 どうしてどこまでも突き放す言い方しか 出ていかないのか。 「…トイレ…行って、来ます」 「あっ」 遂にパタパタと彼は走って部屋から去って しまった。漫画のように、目の前を水滴が ひらひらと舞って、落ちて行った。 成り行きを見守っていた生徒が呟く。 「毎日毎日、風見風紀委員長様って バカですよね」 「…うるさい」 「何だかんだ、俺たち楽しみにしてるん ですよ。素直になれない風紀委員長と健気 に頑張る有村総隊長のラブストーリー。 昼ドラ感覚で見てます。 今のところ第20話まで全く進展がありませ んけど」 「そんな昼ドラ視聴率2%しかとれねぇよ」 「僕らの親衛隊総隊長部屋では視聴率は 80%ですけどね」 「…どこにカメラ仕掛けてあんだ。 いますぐ言え」 end
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