僕のメシア2

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彼は、泣く子も黙る風紀委員長だ。 ー風紀を乱す輩を問答無用で叩き潰し いつも冷静であり隙を見せることはなく 表情からすら、彼の崇高な考えを推測する ことは不可能であるー 「…先日の強姦未遂事件に関わった生徒の 処分についてだが、全員一ヶ月の停学 とする。異論はあるか?」 曇り一つない眼鏡を光らせその下から覗く 彼の鋭い瞳は、座っている生徒を見渡した。 「一ヶ月の停学処分、か。 史哉にしてはえらい軽いじゃない」 愛しい恋人が被害者だってのに、と言外に 含ませ副委員長の翔太が意外そうに言う。 「未遂ではあったし、被害者の約1名の 方にも非がある件だ。妥当だろうよ」 いつも通り読めない表情で彼は応えた。 ((さすが風紀委員長!器が違げぇぜ…!)) 例え身内だろうと贔屓しない強い心。 周りが尊敬の念で長である彼を見つめた。 ーーー 「やっぱり一ヶ月の停学じゃ処分として 軽すぎると思う」 「まったく…まだ言ってるの?史哉さん」 だって、と駄々を捏ねるように愛しい恋人 の膝に縋りついた。 「俺の大事な穂春を傷付けたんだ。 罪は重いぞ。原罪よりもずっーと重いぞ」 「はいはい」 -
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