ちょろい男と平凡と

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「よぉ、今日も辛気臭い顔してんな平凡」 「はぁ」 愛しい飛鳥(あすか)のいつも隣にいる男。 冴えない顔をした奴だ。 可哀想だから構ってやるが、いつも 気のない返事しか返ってこない。 ふざけた野郎である。無礼なやつである。 「俊太!昼飯食おうぜ!」 飛鳥も飛鳥で、何故かこの平凡男に 懐いている。俺のが何倍もカッコイイし お金もあるのに、不思議でならない。 「平凡野郎、気を遣いやがれ」 キッ、と睨んでやればやっと重たい腰が 動いた様だ。 「はぁ。…あーえと、飛鳥。 オレ、トイレ行ってくる」 とってつけたような芝居である。 もっと上手く出来ないのかと思った。 しかし飛鳥は素直に信じた。 「俺も行く!じゃあ、誠一。 そこで待っててな!」 予定と違う。 「え、おい…」 なんで俺が一人にならねばならないのだ。 生徒会長様だぞ。 柳田グループの御曹司だぞ。 まったく…全部平凡野郎がいけないんだ。 お前なんか大嫌いだ。 ーポン。 後ろから誰かに肩を叩かれた。 えらい早いトイレだな。 俺はそう思いながら疑いもなく振り向く。 すると頬に衝撃がきた。 肉と肉がぶつかる鈍い音。 「~ッ!」 「何だ。えらい隙だらけだな、会長様」 くらくらする頭を必死で堪え周りを見渡す といつの間にか十人ちょっとの生徒に 囲まれていた。 -
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