ちょろい男と平凡と

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「ダメでしょ会長。安易に1人になったり したら」 「今までは得体の知れない野郎が近くで 警戒してたから近付けなかったけどよ」 「居なくなるなんてラッキーだ」 (得体の知れない野郎?) 誰のことだろう。 「さて、無駄話はこの辺にして、日頃の 鬱憤晴らさせてもらうぜ」 バキバキと指を鳴らす彼ら。 俺は怖くて指を鳴らさないんだが痛くない のだろうか。めっちゃ鳴らしてる。こわ。 「おい、待てよ。俺を誰だと思ってるんだ」 「black catのお飾り総長、だろ?」 ば、バレてる?! マスコット総長だったことがバレてる! くそ、誰だ言った奴!! ポツリ。頬に冷たいものが落ちてきた。 上を仰ぎ見る。雨だ。次第に雨脚が強く なる。 「雨が降ってきやがった。早く終わら せんぞ!」 ヒュンッ。 反射的にしゃがむと頭を脚が掠った。 「ひぇっ」 「ちょこまかと逃げんじゃねぇ!」 無理無理無理無理!! ブンッ! 「うわっ」 石に躓き盛大に尻餅をつく。 危機を感じた時、横を何かが通り過ぎて いった。 ーえ。 俺の前に現れたのは何やら広い背中。 なんだかすごく見覚えがあるような。 -
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