こちら、放送局。3

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「そうだ!宇野くんに見せたいとって おきの場所があるんだけどさ。 暇だったら、どうかな?嫌なら良いんだ」 続けて、しおらしい声で言うツキ先輩。 顔は見えないけど、きっといつも通りの 魅惑の微笑みを浮かべてるはず。 「…い、嫌じゃないよ?でも、ぼく 好きな人が居るから、遠慮しとくね」 少し残念そうな、だけど芯の通った強い 声で宇野先輩の返事が返ってきた。 「せっかくコンさんに背中を押して もらったんだから、頑張りたいんだ」 (…ん?) 宇野先輩の口から、思いがけなく 聞き慣れた名前が出てくる。 「えっと…コンさんて、あのコン?」 クワ先輩が聞き返す。 「うん。放送部のコンさん。 この間、僕のメール読んでくれてね 諦めちゃダメだって言ってくれたんだ」 先輩たちが呆れた顔で振り向いた。 そんな目で見られても身に覚えが… ある、ぞ。 (もしかして) 「ペンネームは?」 「…「いちご」」 僕と彼の声が重なった。 「あれ、森崎くんあの時聞いてたの?」 「…まぁそんな感じです」 曖昧に笑って誤魔化す。 聞いてたっていうか答えてた? (まさか、あの相談が宇野先輩のもの だったなんて!) -
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