こちら、放送局。3

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「聞いてたのなら、話が早いや。 まぁ、そういうこと。簡単には諦めない からね。でも、彼氏ほっぽいて格好良い 先輩と仲良くするくらい自信があるみたい だから、割り込むのはそれはそれは 難しいんだろうなぁ」 「それはっ、」 誤解で、と言おうとした僕を宇野先輩が 遮る。 「いいよいいよ。秘密なんでしょ? …あれ?もしかして鳴海にも隠してたり するの?」 思わず言葉に詰まる。 松崎先輩には僕以外の放送部員の話はして いない。出来ない、の方が正しいけど。 「…なるほどねぇ。あ、あと森野君てば その2人と仲良くしてるのが親衛隊にバレ たら大変じゃない?」 宇野先輩に次々と弱みを握られていく。 いつもなら放送室以外で放送部の人と 話さないのに。 (あの時アドバイスした自分を殴りたい) 頭を抱えて座り込みたい衝動を抑え 宇野先輩をキッと睨む。 僕も言われっぱなしじゃダメだ。 そう、これだけは自信を持って言えること。 「人を脅すような真似をする人を 松崎先輩は好きになりませんから」 僕の言葉に、一瞬苦しそうに顔を歪める。 けれどまた不敵な笑みを彼は浮かべた。 「本当に?」 それだけ彼は呟くように言ってじゃあね、 と手を振り校舎の中へと消えて行った。 contine
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