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「あぁ、居る。」
俺の言葉に、愕然とした顔をする彼。
「だっ、誰だよそいつ!」
思わず自嘲が漏れる。
本当にそうだったら良いのに。
おっさんで、でかくて
カチカチの腐れ縁のあいつ。
「やな「私だよ。」」
え、おい、え?
「そういうわけで和谷は借りていく。」
「ま、まてよ柳田っ!」
俺はあれよあれよと担がれて
空き教室に入ると、ようやく降ろされた。
俺はいまだ混乱中である。
「…なぁ、悠太。」
ベットの中でしか呼ばない俺の下の名前。
珍しく余裕がないのがわかる。
「お前、付き合ってる人いるのか。」
「…は?」
やっとまともに見れた彼の顔は
苦しそうに歪んでいた。
「あいつに聞かれて
居るって答えただろう!」
「答えたけど…」
それはあいつを諦めさせる為で
お前の名前を…言おうとした。
何を怒ってるんだこいつは。
「そりゃ、お前にとっちゃ
遊びかもしんないけどっ!
俺は、昔からお前がっ!」
What?
「まてまてまてまて。」
聞き捨てならない言葉が
聞こえたぞ?
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