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早鐘を鳴らす胸を押さえ、ソファの裏手に
周る。不自然に散らばった書類は
片付けられることなく皺になっていた。
時間が経ってる。
(会長は?)
辺りを探すが彼の机にもどこにも居ない。
意表を突かれた俺は、へなへなとそこに
しゃがみ込む。溜め息を一つ吐いて
おもむろに手を伸ばし、書類を集める。
部屋は静かで、ガサガサという紙の音が
響いた。生徒会室が広い。こんなに
広かったっけ。あぁ、人がいないからか。
ーなんだか寂しい。
(会長はこの部屋で、誰も来ないこの部屋で
1人でやっていたのか)
いつの間にか早く帰ろうという気持ちを
忘れ、自分の机に座って彼の処からもって
きた束の一つに目を通し始めた。
…
扉が開く音がした。
俺はパッと集中が解かれる。俺の机の上
にもだいぶ山が出来て、その代わり彼の
机の山は低くなっていた。
「宮田?」
扉の方を見ると、見慣れた、けれど1週間
ぶりの彼の姿があった。
いつもは格好良く整えられてる髪が
起き抜けのように少し乱れている。
「会長、どこいってたの」
「…保健室」
(やっぱりか)
「倒れてた?」
彼は答えなかったけど、ちょっと笑った。
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