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「まさか宮田がくるとは」
「意外?」
「あぁ。まだ暫く来ないと思ってた。
どうせ転校生に見向きもしないで、ただ
サボってただけだろう」
「……」
見抜かれてる。
そんな分かりやすい人間か、俺は。
「…会長は、偉いね」
「お前と比べたら全員偉いだろうな」
「ハハ」
返す言葉がありません。
「俺、そんなダメな人間だろうか…」
落ち込む。
そりゃ面倒なことは嫌いだけど。
ただ、それだけなんだけど。
「お前にはやる気と必死さが足りないんだ」
「…家に忘れて来ました」
お母さんのお腹の中かもしれない。
…
「俺は、そろそろ帰るね」
「ありがとうな、宮田。助かった」
本当にきっと彼はその言葉がスルリと自然
に出たのだろう。そのあまりに素直な言葉
を向けられたのが久しぶりすぎて、異常に
胸が高鳴った。
(時々は人の役に立つのも良いもんだなァ)
「また、明日」
俺も自然と言葉が出た。自分でも驚く。
明日も俺は働くのか。
まぁ、でも。
こんな広い生徒会室で、1人で仕事をする
寂しさを、会長にはもう感じてほしくない
と思った。
「また明日」
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