虎視眈々

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「そりゃ、こっちのセリフだ。 俺は六年前からお前のこと 好きだったんだぞっ! お前こそ遊びだったんだろ!」 「俺は七年前からだっ! お前こそ可愛い奴に ヘラヘラ色目使いやがって!」 「あんだてめぇ! てめぇなんか、誰にでも 優しくしやがって! 何回も告られてんだろ、アホ!」 「「俺はなぁ!」」 「「お前のこと ずっと好きだったんだぞ!!」」 「「…」」 顔を見合わせると力が抜けたように 2人で笑った。 本当に信じらんねぇ。 この歳で、やっとかよ。 彼のメガネに手を伸ばす。 …体は重ねても、今まで キスは絶対許さなかった。 「…洸喜、キスしてよ。」 強く、強く抱きしめられる。 折れるわ、馬鹿。 …そして、ゆっくりゆっくり 中学生かと思うくらい 躊躇した触れるだけのキス。 それだけで 幸せすぎて、涙が出た。 「…俺今なら死ねる。」 「死ぬな!」 (「虎視眈々の結末は」) end -
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