Shall we dance?

2/11
前へ
/310ページ
次へ
「陽介くん。一緒に踊ろうよ」 「陽介先輩。あの…僕とペアになって 下さい!」 「貴方と一緒に踊りたいな」 「陽介は僕と踊るんだよね?」 クラスで話題の綺麗な子とか可愛い後輩 ちゃんだとか男泣かせの小悪魔な先輩や キュートで明るい同級生まで。 そんな男のコたちに囲まれているのは またある男子生徒。 その鋭い目つきが印象的な短髪の彼は 彼らに見向きもせず怠そうに答えた。 「…悪いけど、出る気ないから」 自信満々な顔で教室にやってきた彼等 だったが、ガーン!という文字が背後に 見えそうな顔で彼らは泣く泣く彼の元から 去っていく。 我慢ならず立ち上がった1人の生徒。 「陽介のばかやろぉぉぉ!!」 「春樹、煩い」 その様子を隣で惨めな思いをしながら 見ていたのは俺です。そしてその当事者は 俺の友だちです。 「お前、一度も誘われない奴の気持ち 考えたことあんのか」 「んなもん知るか」 彼は冷たくぶった切る。 「ペアがいなきゃパーティー出れないって いうルールが憎い。腐男子として逃せない イベントなのに!ちくしょう!」 誰からも誘われないのはこの俺です。 クリスマスのイベント、ダンスパーティー。 所謂、舞踏会。 それが今週催されるにあたりペアを求めて 色んな生徒が意中の人にアタックする期間 であります。思いもよらない生徒同士が くっついたりしてけしからんくらい萌える イベントなのです。見逃せない。 それなのに。 「もうラスト1日だよッ! 終わったー。1人ぐらいからは誘われる かな?なんて余裕をかましてた1週間前の 自分を殴りたい」 -
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

691人が本棚に入れています
本棚に追加