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ドレスは結局黒で落ち着き、肩口のところ
が膨らんでいる。布には花の刺繍がところ
どころされていて膝丈のスカートの裾にも
レースがあしらわれているデザインのもの
だ。後ろにはお揃いのリボンもついている。
靴は対照的な赤色のそこまで高くないハイ
ヒール。これがアクセントというやつか。
首元には甘すぎないシルバーのチョーカー。
ウイッグはウェーブがかかったふわふわの
ロングヘアのやつ。
ファッションにあまり興味の無い俺でも
彼のセンスが良いことが分かった。
しかし、一番目を見張ることになったのは
自分の…顔。
「ねぇ、誰？！この人誰？！
なんか口元にホクロあるよ？！」
「セクシー感をプラスしてみた」
黒目がちな二重瞼の女の子。
まつげは頬に影を落とすほど長く上を
向いている。ピンクのチークが白い肌に
乗せられて、愛らしく庇護欲をそそる印象
を人に与える。
「なにこれすごい！アイプチに付けまつ毛
…だっけ？俺めっちゃ可愛いじゃん！」
「当たり前だ」
満足気な陽介の顔。
「これなら誰か分からないだろ。
お前はもうそろそろ行け。俺も支度して
すぐ行くから」
「ん、あぁ」
そういや陽介は俺にかかりっきりでまだ
何もやってない。
「間に合うか？」
「お前みたいに時間かかるような顔して
ないからな」
「うっせぇ」
着替え始めた彼を置いて、慣れない
ヒールによろめきながらゆっくりと
会場に歩き出した。
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